この記事の要約
和菓子店のショーケースに並ぶ、季節の花をかたどった美しい和菓子。その多くに使われているのが練り切りです。
一方、大福の皮のような、やわらかくのびる生地が求肥(ぎゅうひ)です。
名前はよく聞くけれど、違いがよく分からない。そんな方も多いと思います。
練り切りは、白あんに求肥やつなぎを混ぜて練った生地です。しっとり、なめらかで、形を作りやすいのが特徴です。
求肥は、白玉粉やもち粉に砂糖や水飴を加えて練った生地です。やわらかく、もちもちとのびるのが特徴です。
つまり、練り切りの主役はあん、求肥の主役はもち米の粉。
そして面白いことに、練り切りの材料の一部に、求肥が使われることがあります。
この記事では、2つの違いと、こなし・ういろうなど似た生地との違い、上生菓子での使われ方、保存までをまとめます。
結論:練り切りは「あんの生地」、求肥は「もち粉の生地」
先に結論をお伝えします。
| 比較 | 練り切り | 求肥 |
|---|---|---|
| 主な材料 | 白あん+つなぎ(求肥、山芋、小麦粉など) | 白玉粉・もち粉+砂糖・水飴 |
| 食感 | しっとり、なめらか、ほろっと | やわらかい、もちもち、のびる |
| 色づけ | 自由に色をつけやすい | 白が基本、色をつけることも |
| 形の作りやすさ | 細工しやすい | のばして包むのに向く |
| 主な使い道 | 上生菓子(季節の花など) | 大福、雪見だいふく風の皮、羽二重餅、若鮎の中身 |
| 日持ち | 当日が目安 | 砂糖が多いと固くなりにくい。商品による |
※作り方は店や地域によって異なります。
見分けるポイントは、口に入れたときの食感です。ほろっと溶けるようなら練り切り、もちっとのびるなら求肥と考えると分かりやすいと思います。
Know:練り切りとは
材料
白あん(白いんげん豆などで作るあん)に、つなぎを加えて練った生地です。
つなぎには、求肥、山芋(つくね芋)、小麦粉、寒梅粉(かんばいこ)などが使われます。何を使うかは、店や地域によって違います。
特徴
- しっとり、なめらかな食感
- 色をつけやすく、形を作りやすい
- ヘラや布巾、木型などで、繊細な細工ができる
使われる和菓子
上生菓子(じょうなまがし)の代表的な生地です。
春は桜や梅、夏は朝顔や紫陽花、秋は菊や紅葉、冬は椿や雪など、季節の風物を表した和菓子が作られます。
中にこしあんや粒あんを包むことが多いです。
「練り切り」の名前
あんを練って、切るように混ぜることから名付けられたとされています。「練り切り」「煉り切り」「ねりきり」など、表記はさまざまです。
Know:求肥とは
材料
白玉粉やもち粉(もち米の粉)に、水と砂糖(水飴)を加え、加熱しながら練った生地です。
砂糖や水飴をたっぷり使うのが、ふつうのお餅との大きな違いです。
特徴
- やわらかく、もちもちとのびる
- 砂糖が多いため、お餅より固くなりにくい
- 薄くのばして、あんやアイスを包むのに向いている
使われる和菓子
- 大福の一部(大福の皮に求肥を使う店もあります)
- 羽二重餅
- 若鮎(わかあゆ)の中身
- うぐいす餅
- アイスを包むお菓子
- 練り切りのつなぎ
お餅との違い
| 比較 | 求肥 | お餅 |
|---|---|---|
| 材料 | もち粉・白玉粉+砂糖・水飴 | もち米 |
| 作り方 | 粉を練る | 蒸したもち米をつく |
| 固くなりやすさ | 固くなりにくい | 時間とともに固くなる |
| 甘さ | 甘い | 甘くない(味つけによる) |
冷たいアイスを包んでもやわらかいのは、砂糖や水飴を多く含む求肥だからです。
Know:似ている生地との違い
和菓子には、ほかにも似た生地があります。
| 生地 | 主な材料 | 食感 | 主に使われる地域・場面 |
|---|---|---|---|
| 練り切り | 白あん+つなぎ | しっとり、なめらか | 関東を中心に全国 |
| こなし | 白あん+小麦粉などを蒸してもむ | 練り切りより弾力がある | 関西、特に京都 |
| 求肥 | もち粉+砂糖・水飴 | やわらかくのびる | 全国 |
| 雪平(せっぺい) | 求肥+卵白など | 白くふんわり | 上生菓子 |
| ういろう | 米粉など+砂糖を蒸す | もっちり、むっちり | 名古屋、山口など |
| 羊羹 | あん+寒天 | しっかり、なめらか | 全国 |
練り切りとこなし
上生菓子の生地として、関東では練り切り、関西ではこなしが多く使われると言われます。
こなしは、白あんに小麦粉などを混ぜて蒸し、もみこなして作るため、練り切りより少し弾力があるのが特徴です。
求肥とういろう
どちらも、もちもちした食感ですが、材料が違います。
ういろうは、米粉(うるち米)や小麦粉などを蒸して作ることが多く、求肥より、むっちりとした歯切れのよさがあります。
Compare:どんな人に、どれがおすすめか
| こんな人に | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 季節感や見た目を楽しみたい | 練り切りの上生菓子 | 季節の花や風景を表した美しさ |
| もちもちの食感が好き | 求肥を使ったお菓子 | やわらかくのびる食感 |
| 甘さ控えめが好き | 店による。こなしや、あんの甘さが控えめな店 | 甘さは店ごとに違う |
| 茶道のお菓子を知りたい | 練り切り、こなし | 茶席の主菓子の定番 |
| 初めて和菓子を食べる | 求肥の大福、練り切りの上生菓子を1つずつ | 違いを比べられる |
同じ練り切りでも、店によって甘さや食感がかなり違います。 いくつかの店で食べ比べると、好みが見えてきます。
Do:練り切りと求肥の保存方法
練り切りの上生菓子
- その日のうちに食べるのが基本
- 乾燥しやすいので、箱のまま、または軽くラップをして置く
- 直射日光を避けた、涼しい場所で
- 暑い日は、表示やお店の案内に従って冷蔵し、食べる少し前に出す
- 冷凍は、表面の色や形が崩れることがあるので、おすすめしにくい
求肥のお菓子
- 表示された期限と保存方法に従う
- 求肥は砂糖が多く、お餅より固くなりにくいが、冷蔵すると固くなることがある
- アイスを包んだものは、冷凍庫で保存
Do:練り切りをおいしく食べるコツ
黒文字(楊枝)で切る
上生菓子は、黒文字(くろもじ)という和菓子用の楊枝で、一口大に切りながらいただくのが一般的です。
まず、見た目をじっくり楽しんでから切ると、季節を感じられます。
お茶と合わせる
練り切りは甘みがしっかりしているものが多いので、抹茶や、少し濃いめの煎茶がよく合います。
常温に戻す
冷蔵したものは、少し常温に置いてから食べると、あんの風味や口どけが感じやすくなります。
Do:家で作るなら
求肥は電子レンジで作れる
白玉粉と砂糖、水を混ぜて、電子レンジで加熱しながら練る方法が、よく紹介されています。
加熱中はとても熱くなるので、やけどに注意してください。片栗粉をまぶすと、手や道具にくっつきにくくなります。
練り切りは、白あんと求肥で作る方法も
市販の白あんに、少量の求肥を混ぜて練ると、家庭でも練り切り生地が作れます。
色づけは、食用色素を少しずつ。思っているより少ない量で色がつきます。
形作りは難しいので、最初は丸めるだけ、茶巾でしぼるだけでも、十分楽しめます。
私が練り切りと求肥の違いを知ったきっかけ
実体験を書きます。
以前は、和菓子店のきれいな上生菓子を見て、「求肥でできているのかな」と思っていました。やわらかそうだったからです。
ある日、和菓子作り体験の教室に参加しました。先生が白あんと、小さく切った求肥を混ぜて練り始めたのを見て、驚きました。
「練り切りは、あんが主役。求肥はつなぎとして少しだけ入れるんですよ」と教えてもらいました。
実際に食べ比べてみると、練り切りはほろっと口の中で溶けるような食感、求肥はもちっとのびる食感で、まったく別物でした。
体験では、桜の練り切りを作りました。色をつけるとき、食用色素を入れすぎて、ピンクではなく濃い赤になってしまいました。先生に「ほんの少し、楊枝の先につける程度で十分」と言われて、なるほどと思いました。
形を作るのは想像以上に難しく、お店の上生菓子が、どれだけ技術のいるものかがよく分かりました。
それからは、上生菓子を買うと、まず見た目を眺めて、作り手の工夫を想像してから食べるようになりました。
Decide:初めて上生菓子を買うときの選び方
迷ったら、次の順番で考えてみてください。
- 季節のモチーフを選ぶ。 今の季節の花や風景を表したものを選ぶと、和菓子の楽しさが伝わりやすいです。
- 中のあんを確認する。 こしあんか粒あんか、お店の方に聞くと教えてもらえます。
- 食べる時間を決めてから買う。 上生菓子は当日中が基本です。
- 生地の違いを聞いてみる。 「これは練り切りですか、こなしですか」と聞くと、会話も楽しめます。
お店の方は、季節の銘(名前)の由来も教えてくれることがあります。名前を知ってから食べると、味わいがいっそう深く感じられます。
この記事で参照した情報について
練り切り、求肥、こなし、ういろうなどの材料や作り方、地域による違いについては、和菓子について一般に紹介されている内容をもとに整理しています。材料や配合、呼び方は、店や地域によって異なります。
保存方法は一般的な目安です。購入した和菓子は、表示やお店の案内に従ってください。
家庭で作る場合、加熱した求肥はとても熱くなります。 やけどに注意してください。求肥や練り切りはのどに詰まりやすいことがあるので、小さなお子さまや高齢の方が食べる場合は、小さく切るなどの配慮をしてください。
よくある質問
Q. 練り切りと求肥の違いは何ですか?
練り切りは白あんにつなぎを加えて練った生地、求肥は白玉粉やもち粉に砂糖や水飴を加えて練った生地です。練り切りはしっとりなめらか、求肥はもちもちとのびる食感です。
Q. 練り切りに求肥は入っていますか?
つなぎとして求肥を少し混ぜることがあります。山芋や小麦粉などを使う店もあります。
Q. 求肥とお餅の違いは?
求肥はもち粉に砂糖や水飴を加えて練るため、甘く、固くなりにくいです。お餅は蒸したもち米をついたもので、時間とともに固くなります。
Q. 練り切りとこなしの違いは?
どちらも上生菓子の生地ですが、こなしは白あんに小麦粉などを混ぜて蒸し、もみこなして作るため、少し弾力があります。関西、特に京都でよく使われます。
Q. 練り切りはどれくらい日持ちしますか?
当日中が目安です。乾燥しやすいので、箱のまま涼しい場所に置き、早めに食べてください。
Q. 練り切りは冷凍できますか?
色や形が崩れることがあるので、おすすめしにくいです。当日中に食べてください。
Q. 上生菓子の食べ方は?
黒文字という楊枝で一口大に切りながら食べるのが一般的です。まず見た目を楽しんでからいただくと、季節を感じられます。
Q. 求肥は家で作れますか?
白玉粉、砂糖、水を混ぜて電子レンジで加熱しながら練る方法がよく紹介されています。熱くなるのでやけどに注意してください。
まとめ
練り切りと求肥の違いを整理します。
練り切りは、白あんにつなぎを加えて練った「あんの生地」です。しっとりなめらかで、色づけや細工がしやすく、上生菓子に使われます。
求肥は、白玉粉やもち粉に砂糖や水飴を加えて練った「もち粉の生地」です。やわらかくのびて、固くなりにくく、大福や羽二重餅などに使われます。
そして、練り切りのつなぎとして求肥が使われることもあります。
関西では、練り切りに似た「こなし」が上生菓子によく使われます。ういろうは米粉などを蒸した、むっちりした生地です。
見分けるポイントは、ほろっと溶けるなら練り切り、もちっとのびるなら求肥。
私は和菓子作り体験で、練り切りが「あんが主役」だと知りました。違いを知ると、上生菓子を眺める時間がもっと楽しくなります。
練り切りの上生菓子は当日中に。 抹茶や煎茶と一緒に、季節を味わってみてください。

