登山やランニングの行動食にチョコは向く?溶かさない持ち方と量

行動食にチョコは向く?
目次

この記事の要約

登山やロングランの行動食として、チョコレートを持っていく人は昔から多くいます。

チョコレートは、軽くて小さいのにエネルギー量が多い食べ物です。長時間体を動かすときの補給として、理にかなった面があります。

ただし、どんな運動にも向くわけではありません。

脂質が多く、消化に時間がかかります。 心拍数が上がるような強度の高い運動の直前や最中には、胃が重く感じられることがあります。

夏は溶けます。 ザックの中やポケットは、思っている以上に温度が上がります。

冬は固くなります。 寒い山では、かじるのが大変なほど固くなることがあります。

この記事では、行動食としてのチョコの向き不向きと、溶かさない・固まらせない持ち方、ほかの補給食との組み合わせを整理します。

運動前の補給全般については、別の記事で詳しく扱っています。ここでは「運動中に持ち歩いて食べる」ことに絞ってお伝えします。

結論:ゆっくり長く動く日の「少しずつ補給」に向く

先に結論をお伝えします。

チョコレートは、登山やハイキングのように、ゆっくり長時間動く日の行動食に向いています。

一方で、レースのような強度の高い運動の最中の主な補給としては、あまり向きません。

使い方のポイントは次のとおりです。

1つめ。一度にたくさんではなく、休憩ごとに少しずつ。 1回2〜3片を目安にします。

2つめ。糖質中心の補給食と組み合わせる。 おにぎり、ようかん、ドライフルーツ、ゼリー飲料などと合わせます。

3つめ。夏は溶ける前提で持ち方を工夫する。 個包装、ザックの中の位置、保冷の工夫が大切です。

4つめ。冬は体温で温まる場所に入れておく。 固くなりすぎるのを防げます。

5つめ。水分も一緒にとる。 チョコレートだけでは、のどが渇きやすくなります。

Know:行動食としてのチョコの特徴

エネルギー密度が高い

食品25gあたりのエネルギーの目安
ミルクチョコレート約140kcal
高カカオ(72%)約140kcal
ナッツ約150kcal
ようかん約70kcal
ドライフルーツ約70〜80kcal
おにぎり(25gぶん)約40kcal

※一般的な目安です。商品によって差があります。

同じ重さで比べると、チョコレートはエネルギーが多い食べ物です。

荷物の重さを気にする登山では、この性質は大きな利点になります。

脂質が多く、消化に時間がかかる

チョコレートのエネルギーの多くは、脂質から来ています。

脂質は、糖質に比べて消化・吸収に時間がかかります。

そのため、すぐにエネルギーとして使いたい場面には、あまり向きません。

一方で、ゆっくり長く動く日なら、少しずつ補給することで、腹持ちの良さが活きることがあります。

ミルクチョコと高カカオの違い

項目ミルクチョコ高カカオ
糖質多い少ない
脂質多いさらに多い
すぐ使えるエネルギー比較的多い少ない
カフェイン少ない多め
苦味少ない強い

行動食としては、糖質もとれるミルクチョコのほうが使いやすい場面が多いと思います。

高カカオは、糖質が少ないぶん、ほかの糖質源と組み合わせて使うのがおすすめです。

Compare:向く運動・向かない運動

運動チョコの向き不向き理由
登山・ハイキング向くゆっくり長時間、休憩で食べられる
長距離ウォーキング向く強度が低く、胃の負担が少ない
ロングライド(ゆっくり)向く走りながら少しずつ食べやすい
ウルトラマラソン補助的に向く長時間なので固形の補給もする
フルマラソンのレース中あまり向かない強度が高く、消化の早い補給が向く
短時間の激しい運動向かない補給そのものが不要なことが多い

※一般的な傾向です。体質や慣れによって合う・合わないは違います。

心拍数が高く、胃腸への血流が減るような強度では、脂質の多い食べ物は胃に残りやすいと言われています。

レース中の補給は、ふだんの練習で試して、自分に合うものを選んでください。本番で初めて試すのは避けましょう。

Do:夏に溶かさない持ち方

溶ける温度を知る

チョコレートは、28度前後から柔らかくなり、33度前後で溶けます。

夏の山の登山口や、日の当たる稜線では、ザックの中は簡単にこの温度を超えます。

工夫1:個包装を選ぶ

1片ずつ包まれている商品を選んでください。

溶けても、手やザックの中が汚れにくくなります。

工夫2:ザックの中の位置

  • 背中に密着する部分は避ける。 体温が伝わります
  • 雨ぶたや外ポケットも避ける。 直射日光で温度が上がります
  • ザックの中央、衣類などで包まれた位置が比較的温度が上がりにくいと思います

工夫3:保冷の工夫

  • 小さな保冷バッグに入れる
  • 凍らせたペットボトルの近くに置く(直接触れさせると結露するので、タオルを挟む)

ただし、保冷の効果は数時間です。長時間の山行では、途中で常温に戻ると考えてください。

工夫4:溶けにくい商品を選ぶ

チョコでコーティングした小粒の菓子や、クッキーで挟んだタイプは、板チョコより形が崩れにくいと思います。

植物油脂を使った準チョコレート系の菓子は、融点が高く溶けにくいものがあります。夏山では、こうした商品のほうが扱いやすい場合があります。

工夫5:溶ける前提で考える

真夏の長時間の山行では、「溶けても食べられる形」を選ぶのも方法です。

一度溶けて固まったチョコレートも、食べる分には問題ありません。 口どけは悪くなりますが、行動食としては十分です。

Do:冬に固くなりすぎない持ち方

寒さで固くなる

気温が低いと、チョコレートはかなり固くなります。

寒い山では、かじるのが大変なほどになり、歯を痛めそうになることもあります。

工夫1:体温で温まる場所に入れる

胸ポケットや、ウェアの内ポケットに、その日食べる分だけ入れておきます。

体温でほどよく温まり、食べやすくなります。

工夫2:薄いもの・小さいものを選ぶ

薄い小分けタイプや、小粒のタイプは、固くなっても食べやすいと思います。

工夫3:口の中で溶かす

固いまま噛まず、口の中でしばらく溶かしてから食べます。

Do:ほかの補給食との組み合わせ

チョコレートだけに頼らず、糖質中心の補給食と組み合わせるのがおすすめです。

補給食特徴組み合わせ方
おにぎり糖質が中心、腹持ちも良い昼休憩の主食に
ようかん糖質が中心、溶けない登りの前の補給に
ドライフルーツ糖質、食物繊維チョコと交互に
ゼリー飲料消化が早い疲れて食べにくいときに
ナッツ脂質、腹持ちチョコと混ぜて少量
塩分の補給食塩分汗をかく日に

チョコとドライフルーツとナッツを混ぜた「トレイルミックス」は、昔からの定番です。

作るときは、割合をチョコ1、ドライフルーツ2、ナッツ1程度にすると、糖質もとりやすくなります。

Do:量とタイミングの目安

休憩ごとに少しずつ

1時間に1回程度の休憩で、チョコ2〜3片(10〜15g程度)を目安にしてください。

一度にたくさん食べると、胃が重くなります。

全体量は運動時間で考える

必要なエネルギーの補給量は、体格、運動の強度、時間によって大きく変わります。

チョコレートだけでまかなおうとせず、主食や糖質の補給食と合わせて考えてください。

水分も必ず一緒に

チョコレートを食べると、のどが渇きやすくなります。

脱水にならないよう、こまめに水分をとってください。

Do:山で気をつけたいこと

  • ゴミは必ず持ち帰る。 包み紙を落とさないように、ゴミ袋を用意しておきます
  • 動物にあげない。 野生動物にとってチョコレートは有害になり得ます。登山に連れていく犬にも絶対に与えないでください
  • アレルギーのある同行者に配慮する。 ナッツ入りを分けるときは確認を
  • 体調が悪いときは無理をしない。 補給では解決できない不調もあります

私が山で学んだこと

実体験を書きます。

私が初めて夏山にチョコレートを持っていったとき、ザックの雨ぶたに板チョコを入れていました。

取り出しやすいと思ったからです。

昼休憩で開けると、完全に溶けていました。 包装の中で液体になっていて、雨ぶたの中が少し汚れてしまいました。

雨ぶたは直射日光が当たる場所だったのです。

次の山行から、個包装の小粒のチョコを、ザックの中央の衣類の間に入れるようにしました。これで、溶けても形が崩れる程度で済むようになりました。

冬の低山では、逆の失敗をしました。ザックに入れたチョコが固くなりすぎて、かじれなかったのです。

以来、冬はその日の分をウェアの胸ポケットに入れています。体温でほどよく温まり、休憩のたびに食べやすくなりました。

もうひとつ学んだのは、チョコだけでは足りないということです。

一度、行動食をチョコとナッツだけにしたことがありました。午後になって足が重くなり、おにぎりを食べたら少し楽になりました。

脂質中心の補給だけでは、すぐ使えるエネルギーが足りなかったのかもしれません。今は、おにぎりとようかんを主役に、チョコは合間の楽しみという組み合わせにしています。

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この記事で参照した情報について

食品のエネルギー量は、文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」および各メーカーの公表値をもとにした目安です。

脂質と糖質の消化の違い、運動強度と消化の関係については、スポーツ栄養の分野で一般に知られている内容をもとに整理しています。適切な補給量や内容は、体格、運動の強度と時間、体質によって大きく変わります。

チョコレートが溶ける温度は、一般的な性質をもとにした目安です。

なお、この記事は行動食に関する一般的な情報であり、個別のトレーニング指導や医学的助言を目的としたものではありません。持病のある方、食事制限を受けている方は、医師や管理栄養士にご相談ください。 山行中の体調不良は、無理をせず下山や救助要請を検討してください。

よくある質問

Q. 登山の行動食にチョコは向いていますか?

ゆっくり長時間動く登山やハイキングには向いています。軽くてエネルギー量が多いためです。ただし糖質中心の補給食と組み合わせるのがおすすめです。

Q. マラソン中の補給にチョコはどうですか?

レースのような強度の高い運動中は、脂質が多く消化に時間がかかるため、あまり向きません。消化の早い補給食を練習で試して選んでください。

Q. 高カカオとミルクチョコ、どちらがいいですか?

行動食としては、糖質もとれるミルクチョコのほうが使いやすい場面が多いと思います。高カカオは、ほかの糖質源と組み合わせてください。

Q. 夏山でチョコを溶かさない方法は?

個包装を選び、背中や雨ぶたを避けてザックの中央に入れてください。保冷の工夫も有効ですが、効果は数時間です。溶けにくい商品を選ぶのも方法です。

Q. 冬山でチョコが固くなります。

その日食べる分をウェアの胸ポケットなど、体温で温まる場所に入れておいてください。薄いものや小粒のものを選ぶと食べやすくなります。

Q. どのくらいの量を食べればいいですか?

休憩ごとに2〜3片(10〜15g程度)を目安にしてください。全体の補給量は、運動時間や体格に合わせて主食なども含めて考えてください。

Q. トレイルミックスの割合は?

チョコ1、ドライフルーツ2、ナッツ1程度にすると、糖質もとりやすくなります。

Q. 山に連れていく犬にチョコをあげてもいいですか?

絶対に与えないでください。犬にとってチョコレートは中毒を起こす危険があります。

まとめ

登山やランニングの行動食としてのチョコレートについて整理します。

チョコレートは、軽くて小さいのにエネルギー量が多い食べ物です。登山やハイキングのように、ゆっくり長く動く日の行動食に向いています。

一方で、脂質が多く消化に時間がかかるため、レース中のような強度の高い運動の主な補給には、あまり向きません。

使い方のポイントは、休憩ごとに少しずつ、糖質中心の補給食と組み合わせて、水分も一緒に。

夏は溶ける前提で。 個包装を選び、ザックの雨ぶたや背中を避けて中央に。私は雨ぶたに入れた板チョコを、完全に溶かしました。

冬は固くなる前提で。 その日の分を胸ポケットに入れておくと、体温でほどよく温まります。

そして、チョコだけに頼らないこと。 私はチョコとナッツだけの補給で午後に足が重くなり、おにぎりで持ち直した経験があります。主役はおにぎりやようかん、チョコは合間の楽しみ。この組み合わせが、私にはいちばん合っていました。

ゴミは持ち帰り、動物には与えない。山のルールも忘れずに。

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