この記事の要約
「糖質オフ」「糖類ゼロ」をうたうチョコレートがあります。
甘さはあるのに、砂糖を使っていない。その代わりに使われているのが、甘味料です。
よく使われるのは、次のようなものです。
マルチトール、エリスリトール。 「糖アルコール」と呼ばれる甘味料です。
ステビア、スクラロースなど。 少量で強い甘さを出す甘味料です。
これらは、国の基準に沿って使われている食品添加物や食品です。普通の量で過度に心配する必要はないと考えています。
ただし、知っておきたい注意点があります。
糖アルコールは、一度にたくさん食べるとおなかがゆるくなることがあります。
そして、「糖類ゼロ」と「糖質ゼロ」は意味が違います。 糖類ゼロでも、糖質はしっかり含まれていることがあります。
この記事では、甘味料の特徴と、表示の読み方を整理します。
結論:食べる量を守れば問題は少ない。ただし表示の意味を正しく知る
先に結論をお伝えします。
糖質オフのチョコレートは、砂糖を控えたい方にとって選択肢のひとつです。
ただし、次の3点を押さえてください。
1つめ。糖アルコールは一度にたくさん食べない。 マルチトールなどは、量が多いとおなかがゆるくなることがあります。
2つめ。「糖類ゼロ」は「糖質ゼロ」ではない。 糖アルコールは糖類に含まれませんが、糖質には含まれます。
3つめ。脂質とエネルギーは、普通のチョコとあまり変わらないことがある。 砂糖を減らしても、脂質はそのままです。
そして、選び方として私が考えているのはこうです。
砂糖を控えたいなら、まず高カカオチョコレートを検討する。 甘味料を使わずに糖質が少なめです。甘さがどうしても欲しいときに、糖質オフ系を選ぶ。
Know:よく使われる甘味料
糖アルコール
砂糖に似た甘さを持ち、エネルギーが砂糖より低めの甘味料です。
| 甘味料 | 甘さ(砂糖を1とした目安) | エネルギーの目安(1gあたり) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| マルチトール | 約0.8 | 約2kcal | 砂糖に近い味、チョコによく使われる |
| エリスリトール | 約0.7 | ほぼ0kcal | ひんやりした味、エネルギーがほぼない |
| ソルビトール | 約0.6 | 約3kcal | 保湿の目的でも使われる |
| キシリトール | 約1.0 | 約3kcal | ガムなどでおなじみ |
※一般的に紹介されている目安です。
血糖値を上げにくいとされるものが多いのが特徴です。
高甘味度甘味料
ごく少量で強い甘さを出す甘味料です。
| 甘味料 | 甘さ(砂糖を1とした目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| ステビア | 約200〜300倍 | 植物由来、後味に独特の風味 |
| スクラロース | 約600倍 | 砂糖に近い甘さ |
| アセスルファムK | 約200倍 | ほかの甘味料と組み合わせて使われる |
※一般的に紹介されている目安です。
使う量がごくわずかなので、エネルギーはほとんどありません。
糖アルコールと組み合わせて使われることがよくあります。糖アルコールで量とコクを出し、高甘味度甘味料で甘さを補うという使い方です。
Know:おなかがゆるくなる理由
糖アルコールは吸収されにくい
糖アルコールは、小腸で吸収されにくい性質があります。
吸収されなかった分が大腸に届くと、水分を引き寄せたり、腸内で発酵したりします。
その結果、おなかがゆるくなったり、張ったりすることがあります。
どれくらいで起きるのか
甘味料の種類、体質、体調によって大きく違います。
マルチトールは、比較的少ない量でも症状が出る方がいると言われています。
エリスリトールは、ほかの糖アルコールより症状が出にくいとされています。多くが小腸で吸収され、そのまま尿として排出されるためです。
表示を確認する
糖アルコールを多く含む食品には、「一度に多量に食べると、体質によりおなかがゆるくなることがあります」といった注意書きがあることがあります。
この表示があれば、量を控えめにしてください。
子どもは特に注意
体が小さいぶん、少ない量でも影響が出やすいと考えられます。
子どもに与える場合は、量を少なめにしてください。
Know:エリスリトールをめぐる研究について
ここは、ていねいに書きます。
研究報告が話題になった
エリスリトールについて、血液中の濃度と心血管のトラブルとの関連を示唆する研究報告が発表され、話題になったことがあります。
因果関係が示されたわけではない
この研究は、関連を示したものであり、エリスリトールが原因だと証明したものではありません。
研究の方法には限界があることも指摘されています。
現時点での考え方
エリスリトールは、国の基準に沿って食品に使われています。
一方で、研究は続いています。 今後、新しい知見が出てくる可能性はあります。
私は、「過度に怖がる必要はないが、毎日大量にとり続けるものでもない」と考えています。
心臓や血管の病気がある方、気になる方は、医師に相談してください。
Know:「糖類ゼロ」と「糖質ゼロ」の違い
ここは、もっとも誤解が多い部分です。
言葉の意味
| 言葉 | 含まれるもの |
|---|---|
| 糖質 | 炭水化物から食物繊維を除いたもの。糖類、糖アルコール、でんぷんなどを含む |
| 糖類 | 糖質のうち、ブドウ糖や砂糖などの単糖類・二糖類 |
糖アルコールは「糖質」ですが、「糖類」ではありません。
何が起きるか
砂糖の代わりにマルチトールを使ったチョコレートを考えてみます。
- 糖類:ほぼゼロ(砂糖を使っていないため)
- 糖質:しっかりある(マルチトールは糖質に含まれるため)
つまり、「糖類ゼロ」と書かれていても、糖質は普通にあるということが起こります。
表示のルール
食品表示では、100gあたりの糖類が0.5g未満なら「糖類ゼロ」「ノンシュガー」などと表示できます。
「糖質オフ」「糖質〇%カット」といった表示は、比較対象と比べてどれくらい減らしたかを示すものです。
確認するべき数字
栄養成分表示の「炭水化物」「糖質」「糖類」を見てください。
商品によっては、「糖質」の内訳として「糖類」「糖アルコール」が書かれています。
Compare:高カカオとの比較
| 項目 | 高カカオ(86%) | 糖質オフ系チョコ | 通常のミルクチョコ |
|---|---|---|---|
| 甘さ | ほとんどない | ある | ある |
| 砂糖 | 少ない | ほぼ使わない | 多い |
| 甘味料 | 使わないことが多い | 使う | 使わないことが多い |
| 糖質(100gあたり) | 約13g | 商品による(糖アルコールを含む) | 約50g |
| 脂質 | 多い | 商品による | 中程度 |
| おなかへの影響 | 少ない | 量によってはある | 少ない |
※目安です。商品によって大きく異なります。
甘さが不要なら高カカオ
高カカオチョコレートは、甘味料を使わずに糖質が少なめです。
苦味に慣れることができれば、いちばんシンプルな選択です。
甘さが欲しいなら糖質オフ系
高カカオの苦味がどうしても合わない方には、糖質オフ系が選択肢になります。
ただし、おなかへの影響と、脂質・エネルギーの量は確認してください。
脂質とエネルギーは要確認
糖質オフ系でも、カカオバターや植物油脂が使われているので、脂質は普通にあります。
「糖質オフだからたくさん食べていい」ではありません。
Do:糖質オフチョコの上手な選び方
1. 栄養成分表示を見る
エネルギー、脂質、糖質、糖類を確認してください。
2. 甘味料の種類を見る
原材料表示で、マルチトール、エリスリトール、ステビアなど、どの甘味料が使われているか確認します。
3. 注意書きを見る
「おなかがゆるくなることがあります」という表示の有無を確認してください。
4. 1回の量を決める
パッケージの目安量を参考に、少なめから始めてください。
特に初めての商品は、一度にたくさん食べないようにします。
5. 体調を見ながら続ける
おなかの調子に変化を感じたら、量を減らすか、別の商品に変えてください。
Do:こんな人は相談を
糖尿病などで治療中の方。 甘味料を使った食品の取り入れ方は、主治医や管理栄養士に相談してください。
心臓や血管の病気がある方。 エリスリトールの研究報告が気になる場合は、医師に相談してください。
おなかの不調が続く方。 甘味料以外の原因も考えられます。医療機関にご相談ください。
妊娠中の方、小さな子ども。 量には特に注意してください。
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この記事で参照した情報について
甘味料の甘さやエネルギーの目安は、一般に紹介されている数値をもとにしています。資料によって多少異なります。
糖アルコールとおなかへの影響については、一般に知られている知見をもとに整理しています。症状の出方には個人差が大きくあります。
エリスリトールと心血管のトラブルの関連については、研究報告があったことを紹介したものです。因果関係は示されておらず、研究は続いています。 最新の情報は、食品安全委員会など公的機関の情報をご確認ください。
「糖類ゼロ」などの表示ルールは、日本の食品表示基準に基づくものです。
なお、この記事は甘味料の一般的な解説であり、特定の商品の安全性や健康効果を保証するものではありません。治療中の方、持病のある方は、必ず医師や管理栄養士にご相談ください。
よくある質問
Q. 糖質オフチョコの甘味料は安全ですか?
国の基準に沿って使われている食品添加物や食品です。普通の量で過度に心配する必要はないと考えていますが、糖アルコールはとりすぎるとおなかがゆるくなることがあります。
Q. マルチトールでおなかがゆるくなるのはなぜですか?
小腸で吸収されにくく、大腸で水分を引き寄せたり発酵したりするためです。量や体質によって症状の出方が違います。
Q. エリスリトールは危ないと聞きました。
血液中の濃度と心血管のトラブルとの関連を示唆する研究報告がありましたが、因果関係は示されていません。気になる方は医師に相談してください。
Q. 「糖類ゼロ」なら糖質もゼロですか?
違います。糖アルコールは糖質に含まれますが、糖類には含まれません。糖類ゼロでも糖質はしっかりあることがあります。
Q. 糖質オフチョコはたくさん食べてもいいですか?
おすすめしません。脂質とエネルギーは普通のチョコとあまり変わらないことがあり、糖アルコールでおなかがゆるくなることもあります。
Q. 高カカオと糖質オフ系、どちらがいいですか?
甘さが不要なら、甘味料を使わない高カカオがシンプルです。苦味がどうしても合わない場合に、糖質オフ系を少量選ぶのがよいと思います。
Q. 子どもに食べさせてもいいですか?
体が小さいぶん、少ない量でもおなかに影響が出やすいと考えられます。量は少なめにしてください。
Q. 糖尿病でも食べられますか?
主治医や管理栄養士の指示を優先してください。自己判断で量を増やさないでください。
まとめ
糖質オフチョコレートの甘味料について整理します。
よく使われるのは、マルチトールやエリスリトールなどの糖アルコールと、ステビアやスクラロースなどの高甘味度甘味料です。
国の基準に沿って使われているもので、普通の量で過度に心配する必要はないと考えています。
ただし、3つの注意点があります。
糖アルコールは、一度にたくさん食べるとおなかがゆるくなることがあります。注意書きを読んでいなかったのが原因です。
「糖類ゼロ」は「糖質ゼロ」ではありません。 糖アルコールは糖質に含まれます。栄養成分表示の「糖質」を確認してください。
脂質とエネルギーは、普通のチョコとあまり変わらないことがあります。 「糖質オフだからたくさん食べていい」ではありません。
エリスリトールについては、心血管との関連を示唆する研究報告がありましたが、因果関係は示されていません。 気になる方は医師に相談してください。
砂糖を控えたいなら、まず甘味料を使わない高カカオを検討してください。 甘さがどうしても欲しいときに、糖質オフ系を少しだけ。この使い方が、いちばん無理がないと思っています。

