この記事の要約
「チョコレートにカドミウムや鉛が含まれている」という話を聞いて、不安になった方もいると思います。
まず事実として、カカオには、カドミウムや鉛がごく微量含まれることがあります。 これは、カカオに限った話ではありません。
カドミウムは、土壌にもともと含まれていて、植物が育つときに吸い上げます。お米や野菜にも、微量に含まれています。
鉛は、カカオ豆を収穫したあと、乾燥させる工程などで表面に付着する可能性が指摘されています。
では、チョコレートを食べるのは危ないのでしょうか。
私の考えは、「普通の量を食べる分には、過度に心配する必要はない。ただし、高カカオを大量に、毎日食べ続けるのは避けたほうがよい」です。
この記事では、含まれる理由、基準の考え方、そして日々の食べ方の工夫を整理します。
結論:量を守り、同じものに偏らない
先に結論をお伝えします。
チョコレートに含まれるカドミウムや鉛の量は、ごく微量です。 普通の量を食べることで、直ちに健康に影響が出るとは考えにくいと思います。
ただし、次の2点は意識してください。
1つめ。カカオ分が高いほど、含まれる量が多くなりやすい。
カドミウムや鉛は、カカオの固形分に含まれます。高カカオほどカカオの割合が高いため、同じ重さなら量が多くなる傾向があります。
2つめ。「健康に良いから」と大量に食べ続けない。
カドミウムは、体の中にたまりやすい性質があります。毎日たくさんとり続けることが、いちばん避けたい食べ方です。
具体的には、次のような工夫で十分だと考えています。
高カカオチョコレートは1日3〜5枚程度にする。
特定の商品ばかりを大量に食べず、ときどき違う商品にする。
子どもや妊娠中の方は、特に量を控えめにする。
Know:なぜカカオに含まれるのか
カドミウムは土壌から
カドミウムは、自然界の土壌にもともと含まれている金属です。
植物は、根から水分や養分を吸い上げるときに、カドミウムも一緒に取り込みます。
カカオの木も同じです。 土壌に含まれるカドミウムの量によって、カカオ豆に含まれる量が変わります。
産地によって差があるとされています。一般に、火山性の土壌が多い地域など、土壌中のカドミウムが多い地域で育ったカカオは、含有量が高くなる傾向があると指摘されています。
鉛は収穫後の工程で
鉛は、カカオ豆の中よりも、外側に付着することが多いと考えられています。
収穫したカカオ豆は、発酵させたあと、屋外で乾燥させるのが一般的です。この工程で、土ぼこりなどと一緒に鉛が付着する可能性が指摘されています。
収穫後の扱い方を改善することで、減らせる可能性があるとされています。
カカオだけの問題ではない
カドミウムは、お米、野菜、貝類などにも微量に含まれています。
日本人がとるカドミウムの多くは、主食であるお米からと言われています。
チョコレートだけが特別に危ない食品、というわけではありません。
Know:なぜ気をつけたほうがよいのか
カドミウムは体にたまりやすい
カドミウムは、体に入ると排出されにくく、主に腎臓にたまりやすいとされています。
長い期間、多い量をとり続けると、腎臓の働きに影響する可能性が指摘されています。
だから、「たまに食べる」より「毎日大量に食べ続ける」ほうが問題になりやすいのです。
鉛は子どもへの影響が指摘されている
鉛は、特に子どもの発達への影響が懸念されている金属です。
大人より体が小さく、発達の途中にあるためです。
妊娠中の方も、胎児への影響を考えて注意したほうがよいとされています。
大切なのは「量」と「期間」
どちらも、少しとったらすぐに問題が出る、というものではありません。
どれくらいの量を、どれくらいの期間とり続けるかが大切です。
Know:基準の考え方
海外の基準
EU(欧州連合)では、チョコレートなどのカカオ製品に含まれるカドミウムの上限値が設けられています。
カカオ分が高い製品ほど、上限値が高く設定されています。これは、高カカオほどカカオの割合が高く、含有量が多くなりやすいことを反映しています。
また、アメリカでは、消費者団体がチョコレートのカドミウムや鉛を検査した結果を公表し、話題になったことがあります。
日本の基準
日本では、お米(玄米・精米)のカドミウムには基準値があります。
一方、チョコレートについては、カドミウムや鉛の個別の基準値は設けられていません。
耐容摂取量という考え方
食品安全委員会では、カドミウムについて、「一生涯とり続けても健康への悪影響がないと考えられる量」(耐容週間摂取量)を評価しています。
体重1kgあたり、1週間に一定の量までという形で示されています。
日本人が普段の食事でとっているカドミウムの量は、この目安を下回っていると評価されています。
基準値がない=危ない、ではない
日本でチョコレートの基準値がないのは、日本人のカドミウム摂取の中でチョコレートの占める割合が小さいと考えられていることも背景にあると思われます。
基準がないことを、すぐに「危ない」と結びつけないでください。
Compare:種類による違い
| 種類 | カカオの割合 | 含まれる量の傾向 |
|---|---|---|
| ホワイトチョコレート | カカオバターのみ | ごく少ない |
| ミルクチョコレート | 低め | 少なめ |
| ビター(50〜60%) | 中程度 | 中程度 |
| 高カカオ(70%以上) | 高い | 多めになりやすい |
| 純ココアパウダー | 固形分が中心 | 重さあたりでは多めになりやすい |
※一般的な傾向です。産地や商品によって大きく異なります。
高カカオほど注意
カドミウムや鉛は、主にカカオの固形分に含まれると考えられます。
そのため、カカオ分が高いほど、同じ重さで含まれる量が多くなりやすい傾向があります。
ホワイトチョコは少ない
ホワイトチョコは、カカオの固形分を使わず、カカオバター(脂肪分)を使うため、含まれる量はごく少ないと考えられます。
ココアは量で考える
純ココアは、重さあたりでは多めになりやすいですが、1回に使う量は5g程度です。
実際にとる量で考えてください。
Do:日々の食べ方の工夫
1. 量を決める
高カカオチョコレートは1日3〜5枚(15〜25g)程度を目安にしてください。
この量なら、脂質やエネルギー、カフェインの面でもちょうどよい範囲です。
2. 「健康のため」に大量に食べない
高カカオは健康に良いと聞いて、毎日たくさん食べる。 これがいちばん避けたいパターンです。
カドミウムは、体にたまりやすい性質があります。
3. 同じ商品に偏らない
産地によって含有量に差があるとされています。
特定の商品ばかりを長く大量に食べるより、ときどき違う商品やカカオ分のものに変えると、偏りを避けやすくなります。
4. 子どもには控えめに
子どもは体が小さく、鉛の影響を受けやすいとされています。
高カカオチョコレートや純ココアを、子どもに毎日たくさん与えるのは避けてください。
5. 妊娠中・授乳中は特に量に注意
胎児への影響を考えて、量を控えめにしてください。
カフェインの面でも、控えめにしたい時期です。
6. 食事全体のバランスをとる
カドミウムは、お米や野菜などからもとっています。
チョコレートだけを気にするより、いろいろな食品をバランスよく食べることが、特定の成分への偏りを避けることにつながります。
7. メーカーの情報を確認する
安全性や品質管理について情報を公開しているメーカーもあります。
気になる方は、公式サイトなどを確認してみてください。
Do:不安との付き合い方
情報の出どころを確認する
「チョコは危険」といった強い表現の情報を見たら、何を根拠にしているのかを確認してください。
量や基準の話が省かれていないか、見てみると判断しやすくなります。
公的機関の情報を参考にする
食品安全委員会、厚生労働省、消費者庁などは、食品の安全性に関する情報を公開しています。
「ゼロ」を求めすぎない
カドミウムは、お米にも野菜にも微量に含まれています。
完全にゼロにすることは、現実的ではありません。「量を適切に保つ」という考え方のほうが、実際に役立ちます。
心配なときは相談する
持病がある方、腎臓の機能が気になる方、妊娠中の方は、医師に相談してください。
私がこの話を知って考えたこと
実体験を書きます。
私がカカオのカドミウムについて知ったのは、高カカオチョコレートを毎日食べ始めてしばらく経った頃でした。
「チョコに重金属」という見出しを見て、正直かなり不安になりました。当時、私は「健康に良いから」と、1日10枚近く食べることもあったからです。
そこで、いろいろ調べてみました。
分かったのは、カドミウムはお米や野菜にも含まれていて、日本人の摂取量の多くはお米からだということ。カカオでは、カカオ分が高いほど多くなりやすいこと。そして、体にたまりやすいので、大量に長く続けることが問題になりやすいということでした。
「チョコを食べること」自体より、「健康に良いと思い込んで大量に食べ続けること」のほうが問題だと気づきました。
以来、1日5枚までと決めました。そして、同じ商品ばかりではなく、ときどき別のメーカーやカカオ分の商品に変えています。
不安な見出しを見たときは、どれくらいの量で、何と比べて、という情報を探すようにしています。そうすると、必要以上に怖がることも、逆に無視することもなくなりました。
正しく知って、量を守る。 これが、私のたどり着いた付き合い方です。
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この記事で参照した情報について
カカオにカドミウムや鉛が含まれる理由については、報道や研究、公的機関などで一般に指摘されている内容をもとに整理しています。
EUのカドミウム上限値、日本のお米の基準値、食品安全委員会の耐容週間摂取量の評価については、各機関が公表している情報をもとにしています。具体的な数値や最新の基準は、各機関の公式情報をご確認ください。 基準は改正されることがあります。
海外の消費者団体による検査結果については、話題になったことを紹介したものであり、特定の商品の評価を示すものではありません。
産地や商品による含有量の差は、一般的な傾向として記載しています。 個別の商品の含有量を示すものではありません。
なお、この記事は食品の安全性に関する一般的な解説であり、特定の商品の安全性を保証したり、健康への影響を判断したりするものではありません。持病のある方、妊娠中・授乳中の方、お子さまの食事について不安がある方は、医師にご相談ください。
よくある質問
Q. チョコレートにカドミウムや鉛は含まれていますか?
ごく微量含まれることがあります。カドミウムは土壌から、鉛は収穫後の乾燥工程などで付着する可能性が指摘されています。
Q. チョコを食べるのは危ないですか?
普通の量を食べる分には、過度に心配する必要はないと考えています。ただし、高カカオを大量に、毎日食べ続けるのは避けたほうがよいと思います。
Q. 高カカオのほうが多いのですか?
カカオの固形分に含まれるため、カカオ分が高いほど多くなりやすい傾向があります。
Q. 日本にチョコの基準値はありますか?
チョコレートについてのカドミウムや鉛の個別の基準値はありません。お米にはカドミウムの基準値があります。
Q. カドミウムはほかの食品にも含まれますか?
お米、野菜、貝類などにも微量に含まれます。日本人の摂取量の多くはお米からと言われています。
Q. どれくらいなら食べていいですか?
公的な目安はありませんが、高カカオチョコレートなら1日3〜5枚程度にしておくと、ほかの面でもちょうどよい範囲だと考えています。
Q. 子どもに食べさせても大丈夫ですか?
子どもは鉛の影響を受けやすいとされています。高カカオや純ココアを毎日たくさん与えるのは避けてください。
Q. 不安なときはどうすればいいですか?
情報の根拠や量の話を確認し、公的機関の情報を参考にしてください。持病のある方や妊娠中の方は、医師に相談してください。
まとめ
チョコレートのカドミウムと鉛について整理します。
カカオには、カドミウムや鉛がごく微量含まれることがあります。 カドミウムは土壌から吸い上げられ、鉛は収穫後の乾燥工程などで付着する可能性が指摘されています。
これはカカオだけの話ではありません。 カドミウムは、お米や野菜にも含まれています。
普通の量を食べる分には、過度に心配する必要はないと私は考えています。
ただし、カカオ分が高いほど多くなりやすく、カドミウムは体にたまりやすい性質があります。
私は「健康に良いから」と高カカオを1日10枚近く食べていた時期がありましたが、この話を知って量を見直しました。
問題になりやすいのは、「チョコを食べること」ではなく、「健康に良いと思い込んで大量に食べ続けること」です。
高カカオチョコレートは1日3〜5枚。同じ商品に偏らず、ときどき変える。子どもや妊娠中の方は特に控えめに。
そして、不安な見出しを見たときは、どれくらいの量で、何と比べての話なのかを確認してください。
正しく知って、量を守る。それが、チョコレートと長く付き合うためのいちばんの方法だと思っています。

