この記事の要約
高カカオチョコレートは、重さの4割前後が脂質です。
「脂質が多いのは気になる」と感じる方もいると思います。ただ、脂質は中身によって性質が違います。
チョコレートの脂質の大部分は、カカオバターです。
カカオバターは、主に3種類の脂肪酸でできています。
ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸。 この3つで、ほとんどを占めます。
このうち、ステアリン酸は飽和脂肪酸ですが、血液中のLDLコレステロールを上げにくいという報告があります。オレイン酸は、オリーブオイルに多い脂肪酸です。
とはいえ、脂質はエネルギーが高いことに変わりはありません。1gあたり約9kcalです。
この記事では、脂質の中身を整理したうえで、どう付き合えばよいかをお伝えします。
結論:中身は悪くない。ただし量は控えめに
先に結論をお伝えします。
カカオバターの脂肪酸の中身は、極端に心配するようなものではないと私は考えています。
ステアリン酸はLDLコレステロールへの影響が小さいとされ、オレイン酸は一価不飽和脂肪酸です。
ただし、次の3点は押さえてください。
1つめ。飽和脂肪酸は全体の約6割を占めます。 パルミチン酸も含まれるので、「飽和脂肪酸をまったく気にしなくていい」わけではありません。
2つめ。エネルギーは高いです。 高カカオ5枚(25g)で約140kcal、脂質は約10gです。
3つめ。ミルクチョコには乳脂肪も加わります。 カカオバターとは別の飽和脂肪酸が入ってきます。
だから、結論はシンプルです。中身の質は悪くないが、量で管理する。 高カカオチョコレートを1日3〜5枚が、私のおすすめです。
Know:チョコレートの脂質はどれくらいか
種類ごとの脂質量
| 種類 | 脂質(100gあたり) | 小分け5枚(25g)換算 |
|---|---|---|
| ミルクチョコレート | 約34g | 約8.5g |
| ホワイトチョコレート | 約39g | 約10g |
| 高カカオ(72%) | 約40g | 約10g |
| 高カカオ(86%) | 約48g | 約12g |
| 高カカオ(95%) | 約53g | 約13g |
※文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」および各メーカーの公表値をもとにした目安です。
カカオ分が高いほど、脂質は増えます。 砂糖が減り、カカオバターの割合が上がるためです。
脂質のエネルギー
脂質は1gあたり約9kcalです。
炭水化物やたんぱく質(1gあたり約4kcal)の2倍以上です。
だから、脂質の多い食品は、少量でもエネルギーが高くなります。
Know:カカオバターの中身
主な脂肪酸の割合
| 脂肪酸 | 種類 | カカオバター中の割合の目安 |
|---|---|---|
| ステアリン酸 | 飽和脂肪酸 | 約33〜35% |
| オレイン酸 | 一価不飽和脂肪酸 | 約33〜35% |
| パルミチン酸 | 飽和脂肪酸 | 約25% |
| リノール酸 | 多価不飽和脂肪酸 | 約3% |
※一般的な値の目安です。カカオの産地や品種によって変わります。
飽和脂肪酸(ステアリン酸+パルミチン酸)が約6割、不飽和脂肪酸が約4割という構成です。
ステアリン酸
カカオバターにもっとも多い脂肪酸のひとつです。
飽和脂肪酸ですが、体内でオレイン酸に変わりやすく、LDLコレステロールを上げにくいという研究報告があります。
同じ飽和脂肪酸でも、パルミチン酸などとは性質が違うと考えられています。
ただし、研究によって結果に幅があり、結論が完全に定まっているわけではありません。
オレイン酸
オリーブオイルに多く含まれる脂肪酸です。
一価不飽和脂肪酸で、酸化されにくいという性質があります。
パルミチン酸
飽和脂肪酸で、LDLコレステロールを上げる方向に働くとされています。
カカオバターの約4分の1を占めます。
なぜ口の中で溶けるのか
この脂肪酸の組み合わせが、カカオバターの独特な溶け方を生んでいます。
常温では固く、体温に近い温度でさっと溶ける。 チョコレートの口どけは、この性質によるものです。
Know:飽和脂肪酸の考え方
目標量がある
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、飽和脂肪酸の目標量が示されています。
18歳以上で、1日のエネルギーの7%以下です。
1日2,000kcalとる方なら、飽和脂肪酸は約15.5g以下が目安になります。
高カカオ5枚の飽和脂肪酸
高カカオ(72%)5枚・25gの脂質は約10g。そのうち飽和脂肪酸は約6gです。
1日の目安(約15.5g)の4割程度にあたります。
決して少なくはありません。 ほかの食事の脂質とも合わせて考える必要があります。
ステアリン酸をどう評価するか
ステアリン酸がLDLコレステロールを上げにくいという報告を考えると、同じ量の飽和脂肪酸でも、ほかの食品とは影響が違う可能性があります。
ただ、食事摂取基準の目標量は、飽和脂肪酸をまとめて扱っています。
私は、「影響が小さいかもしれない」と期待しすぎず、量はふつうに管理するのが安全だと考えています。
Compare:ミルクチョコとの違い
乳脂肪が加わる
ミルクチョコレートには、カカオバターに加えて乳脂肪が入ります。
乳脂肪は、パルミチン酸やミリスチン酸など、LDLコレステロールを上げる方向に働くとされる飽和脂肪酸を多く含みます。
植物油脂が加わる商品もある
「準チョコレート」などには、カカオバター以外の植物油脂が使われていることがあります。
油脂の種類は商品によってさまざまです。気になる場合は、原材料表示を確認してください。
比較
| 項目 | 高カカオ | ミルクチョコ | 準チョコ系 |
|---|---|---|---|
| 主な脂質 | カカオバター | カカオバター+乳脂肪 | 植物油脂が加わる |
| 脂質量 | 多い | やや少ない | 商品による |
| 糖質量 | 少ない | 多い | 多いことが多い |
脂質の量だけを見ると、高カカオのほうが多いです。
脂質の中身で見ると、高カカオはカカオバターが中心です。
Know:たんぱく質はどれくらいか
脂質と一緒に、たんぱく質にも触れておきます。
| 種類 | たんぱく質(100gあたり) | 小分け5枚(25g)換算 |
|---|---|---|
| ミルクチョコレート | 約7g | 約1.8g |
| 高カカオ(72%) | 約10g | 約2.5g |
| 高カカオ(86%) | 約12g | 約3g |
| 純ココアパウダー | 約19g | 5gで約1g |
カカオ分が高いほど、たんぱく質もやや増えます。
ただし、実際に食べる量では2〜3g程度です。たんぱく質の供給源として期待するものではありません。
Do:脂質と上手に付き合う
1日の量を決める
高カカオチョコレートなら1日3〜5枚を目安にしてください。
脂質は6〜10g程度、エネルギーは84〜140kcalに収まります。
ほかの食事の脂質と合わせて考える
揚げ物、肉の脂身、バター、生クリームをよく食べる日は、チョコレートを控えめにするとバランスが取りやすくなります。
追加ではなく置き換え
スナック菓子や菓子パンの代わりに高カカオを選ぶなら、脂質の総量は変わらないか、減ることもあります。
普段の間食に上乗せすれば、脂質は増えます。
ナッツと組み合わせるときは量に注意
ナッツも脂質が多い食品です。両方合わせて、1回に食べる量を控えめにしてください。
コレステロール値を指摘されている方
医師や管理栄養士の指示を優先してください。
ステアリン酸の研究報告があるからといって、自己判断で量を増やさないでください。
私が数字を見て考えたこと
実体験を書きます。
私が高カカオチョコレートを食べ始めたとき、「糖質が少ないから健康的」と思っていました。
しかし、栄養成分表示を見て、脂質の多さに驚きました。カカオ86%は、100gあたり約48gが脂質です。ほぼ半分です。
「これは食べすぎないほうがいいのでは」と心配になり、脂質の中身を調べました。
そこで知ったのが、カカオバターの脂肪酸の構成です。ステアリン酸とオレイン酸が多く、ステアリン酸はLDLコレステロールを上げにくいという報告がある。
少し安心しました。
ただ、計算してみて考えを改めました。
高カカオ5枚で、飽和脂肪酸は約6g。1日の目安の4割程度です。中身の質が悪くないとしても、量は無視できません。
当時、私は1日10枚近く食べることもありました。それだと飽和脂肪酸は約12gになり、1日の目安にかなり近づきます。
以来、1日5枚までと決めています。
そして、揚げ物を食べた日は3枚にするなど、ほかの食事と合わせて調整するようにしました。
「中身が良い」と「たくさん食べていい」は別の話。 これが、脂質について調べて得た私の結論です。
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この記事で参照した情報について
脂質・たんぱく質の含有量は、文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」および各メーカーの公表値をもとにした目安です。
カカオバターの脂肪酸組成は、一般に報告されている値の目安です。カカオの産地、品種、加工方法によって変わります。
ステアリン酸とLDLコレステロールの関係については、研究で報告されている内容を紹介したものです。研究によって結果に幅があり、結論が確立しているとは言えません。
飽和脂肪酸の目標量は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に基づいています。
なお、この記事は栄養情報の解説であり、特定の健康効果を保証するものではありません。脂質異常症などで治療中の方、コレステロール値を指摘されている方は、必ず医師や管理栄養士の指示に従ってください。
よくある質問
Q. チョコレートの脂質は気にしたほうがいいですか?
中身はカカオバターが中心で、極端に心配するようなものではないと考えています。ただしエネルギーが高く、飽和脂肪酸も含むため、量の管理は必要です。
Q. カカオバターはどんな脂肪酸でできていますか?
主にステアリン酸(約33〜35%)、オレイン酸(約33〜35%)、パルミチン酸(約25%)です。飽和脂肪酸が約6割を占めます。
Q. ステアリン酸はコレステロールを上げませんか?
LDLコレステロールを上げにくいという研究報告があります。ただし結論が完全に定まっているわけではないため、期待しすぎないほうが安全です。
Q. 高カカオ5枚で脂質はどれくらいですか?
高カカオ(72%)5枚・25gで、脂質は約10g、そのうち飽和脂肪酸は約6gです。
Q. 飽和脂肪酸の1日の目安は?
18歳以上で1日のエネルギーの7%以下が目標量です。1日2,000kcalなら約15.5g以下になります。
Q. ミルクチョコのほうが脂質は少ないですか?
量ではやや少なめですが、乳脂肪が加わります。乳脂肪はLDLコレステロールを上げる方向に働くとされる飽和脂肪酸を多く含みます。
Q. チョコのたんぱく質は多いですか?
高カカオで100gあたり約10g、5枚で約2.5gです。たんぱく質の供給源として期待するほどの量ではありません。
Q. コレステロール値が高めでも食べていいですか?
医師や管理栄養士の指示を優先してください。自己判断で量を増やさないでください。
まとめ
チョコレートの脂質について整理します。
高カカオチョコレートは、重さの4割前後が脂質です。 カカオ分が高いほど増えます。
脂質の中心はカカオバターです。 ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸でほとんどを占めます。
ステアリン酸は飽和脂肪酸ですが、LDLコレステロールを上げにくいという報告があります。 オレイン酸はオリーブオイルに多い脂肪酸です。中身の質は、極端に心配するようなものではないと考えています。
ただし、量は無視できません。
高カカオ5枚で、飽和脂肪酸は約6g。1日の目安の4割程度です。私は1日10枚近く食べていた時期がありましたが、計算して考えを改めました。
「中身が良い」と「たくさん食べていい」は別の話です。
高カカオチョコレートは1日3〜5枚。ほかの食事の脂質とも合わせて考えてください。そして、間食に上乗せではなく、置き換えとして取り入れてください。
コレステロール値などを指摘されている方は、医師や管理栄養士の指示を優先してください。

