この記事の要約
「チョコレートはGI値が低い」という話を聞いたことがあるかもしれません。
これは、ある意味では正しいです。チョコレートのGI値は、白いごはんや食パンと比べると、低めの部類に入るとされています。
ただし、「だから血糖値を気にせず食べていい」という話にはなりません。
理由は2つあります。
1つめ。GI値が低めになる大きな理由は、脂質が多いことです。 脂質は糖の吸収をゆっくりにします。つまり、「体に良いから低い」わけではありません。
2つめ。GI値は「食べる量」を考えていません。 たくさん食べれば、GI値が低くても血糖値への影響は大きくなります。
この記事では、GI値の意味、チョコレートの数値の読み方、そして血糖値を意識した食べ方を整理します。
なお、血糖値について医師から指導を受けている方は、この記事よりも主治医の指示を優先してください。
結論:GI値は低めだが、それだけで選ぶのは危うい
先に結論をお伝えします。
チョコレートのGI値は、主食やお菓子の中では低めの部類とされています。
ただし、GI値だけで判断すると、次のような落とし穴があります。
脂質が多いから低く見えている。 糖の吸収がゆっくりになるのは、脂質の影響が大きいのです。脂質をたくさんとれば、エネルギーは増えます。
量を考えていない。 GI値は、一定量の糖質をとったときの血糖値の上がり方を比べた数字です。実際にどれだけ食べるかは入っていません。
商品によって大きく違う。 ミルクチョコと高カカオでは、糖質の量がまったく違います。
だから私は、GI値よりも「1回にとる糖質の量」を見ることをおすすめしています。
高カカオチョコレートを1日3〜5枚、食事から時間を空けて食べる。 この形なら、糖質は数g程度に収まり、血糖値への影響も小さく抑えやすくなります。
Know:GI値とは何か
血糖値の上がり方を比べる数字
GI値は、「グリセミック・インデックス」の略です。
食べ物に含まれる糖質が、どれくらいの速さで血糖値を上げるかを、ブドウ糖を基準にして数値で表したものです。
ブドウ糖を100として、それに比べてどれくらいかを示します。
大まかな区分
| 区分 | GI値の目安 |
|---|---|
| 低GI | 55以下 |
| 中GI | 56〜69 |
| 高GI | 70以上 |
※区分の目安は、資料によって多少異なります。
数字は測り方で変わる
GI値は、人に実際に食べてもらって測るものです。
そのため、同じ食品でも、測定した国や研究、商品によって数字が違うことがあります。
ひとつの数字を絶対的なものと考えないでください。
Know:チョコレートのGI値
低めの部類とされる
チョコレートのGI値は、おおむね40前後から50前後と紹介されることが多いようです。
これは、低GIから中GIの境目あたりにあたります。
| 食品 | GI値の目安 |
|---|---|
| ブドウ糖 | 100 |
| 食パン | 70〜90程度 |
| 白いごはん | 70〜85程度 |
| せんべい | 80前後 |
| バナナ | 50前後 |
| チョコレート | 40〜50程度 |
| りんご | 35前後 |
| 牛乳 | 25〜30程度 |
※海外の研究や一般に紹介されている数値をもとにした目安です。測定方法や商品によって大きく変わります。
なぜ低めになるのか
理由1:脂質が多い。
チョコレートは、重さの3〜5割が脂質です。脂質は、胃から腸へ食べ物が送られるスピードをゆっくりにします。 その結果、糖の吸収もゆっくりになります。
理由2:乳成分が入っている(ミルクチョコ)。
乳成分のたんぱく質や脂肪も、吸収をゆっくりにする方向に働くとされています。
理由3:糖の種類。
チョコレートに使われる砂糖は、ブドウ糖と果糖が結びついたものです。果糖は、血糖値を直接はあまり上げないとされています。
ここが大事なポイント
「GI値が低い=体に良い」ではありません。
チョコレートのGI値が低めなのは、主に脂質が多いからです。
同じ理屈で言えば、ポテトチップスも、脂質が多いためGI値は低めに出ることがあります。 でも、それを「健康的なお菓子」とは言いにくいですよね。
Know:GI値の落とし穴
落とし穴1:量が考慮されていない
GI値は、一定量の糖質(一般には50g)をとったときの比較です。
実際には、食べる量によって、とる糖質はまったく違います。
GI値が低くても、たくさん食べれば血糖値への影響は大きくなります。
落とし穴2:GL値という考え方
量を考慮した数字として、「GL値(グリセミック・ロード)」があります。
GL値 = GI値 × 1回にとる糖質の量(g) ÷ 100
| 区分 | GL値の目安 |
|---|---|
| 低い | 10以下 |
| 中程度 | 11〜19 |
| 高い | 20以上 |
チョコレートでGL値を計算してみる
GI値を45として、ざっくり計算してみます。
| 食べる量 | 糖質の目安 | GL値の目安 |
|---|---|---|
| 高カカオ(72%)3枚・15g | 約4g | 約2 |
| 高カカオ(72%)5枚・25g | 約6g | 約3 |
| ミルク板チョコ半分・25g | 約13g | 約6 |
| ミルク板チョコ1枚・50g | 約26g | 約12 |
※糖質量、GI値ともに目安です。
高カカオを少量なら、GL値はかなり低くなります。
ミルク板チョコを1枚食べると、GL値は中程度になります。
同じ「チョコレート」でも、種類と量で大きく変わることが分かります。
落とし穴3:組み合わせで変わる
GI値は、その食品を単独で食べたときの数字です。
実際には、ほかの食べ物や飲み物と一緒にとることが多いと思います。
甘い飲み物と一緒にとれば、糖質は上乗せされます。
落とし穴4:個人差が大きい
同じものを食べても、血糖値の上がり方には個人差があります。
体質、その日の体調、運動の有無などでも変わります。
Compare:高カカオとミルクチョコの違い
| 項目 | 高カカオ(72%) | ミルクチョコ |
|---|---|---|
| 糖質(100gあたり) | 約25g | 約50g以上 |
| 脂質(100gあたり) | 約40g | 約34g |
| 1回に食べる量 | 小分けで少なめ | 板で多めになりがち |
| GL値(ふだんの量) | 低い | 中程度になりやすい |
血糖値を意識するなら、高カカオのほうが有利です。
ただし、その理由はGI値ではありません。
糖質そのものが少ないこと、そして小分けで量が少なくなりやすいことが理由です。
Do:血糖値を意識した食べ方
1回の量を決める
高カカオチョコレートなら1日3〜5枚を目安にしてください。
糖質は4〜6g程度に収まります。
食事の直後に追加しない
食事で糖質をとったあとに、さらにチョコレートを食べると、糖質が上乗せされます。
間食として、食事から時間を空けて食べるほうが、1回あたりの糖質を分散できます。
食前に少し食べる方法について
「食事の前に高カカオを少し食べると、血糖値の上がり方がゆるやかになる」という話を聞くことがあります。
研究として検討されていることはありますが、確実な方法とまでは言えません。
試す場合は、1〜2枚程度にしてください。量を増やせば、その分の糖質と脂質が加わります。
甘い飲み物と合わせない
無糖の紅茶、ブラックコーヒー、麦茶などと合わせてください。
甘いカフェラテと一緒にとれば、チョコが高カカオでも糖質は増えます。
よく噛まずに、ゆっくり溶かす
少量で満足しやすくなります。
結果として、食べる量が減ります。
ナッツと組み合わせる
ナッツは糖質が少なく、満足感を高めます。
チョコの量を減らしても、満足しやすくなります。ただし、ナッツもエネルギーは高いので、量は控えめに。
Do:こんな人は特に注意
糖尿病の方
主治医や管理栄養士の指示を最優先してください。
この記事の内容は、一般的な情報の整理です。治療中の方の食事は、個別に考える必要があります。
血糖値が高めと言われた方
自己判断で「低GIだから大丈夫」と考えないでください。
気になる場合は、医療機関で相談することをおすすめします。
糖質制限をしている方
GI値ではなく、糖質量で管理してください。
高カカオでも、食べすぎれば糖質は積み上がります。
私が誤解していたこと
実体験を書きます。
私は以前、「チョコレートは低GIだから、血糖値を気にしなくていい」と思っていました。
どこかで読んだ情報を、そのまま信じていたのです。
そして、ミルクチョコレートの板を1枚食べることもよくありました。
あるとき、GI値の意味を詳しく調べて、チョコのGI値が低めなのは脂質が多いからだと知りました。
さらに、GI値には食べる量が入っていないことも知りました。
計算してみると、ミルク板チョコ1枚で糖質は約26g。GL値は中程度になります。「低GIだから大丈夫」とは、とても言えない量でした。
「低GI」という言葉に安心して、量のことを考えていなかったのです。
その後、高カカオの小分けタイプに変えました。3枚で糖質は約4g。これなら、GL値もかなり低く抑えられます。
GI値は食品の性質を知るヒントにはなりますが、それだけで判断するのは危うい。 これが私の結論です。
今は、GI値よりも「1回に何gの糖質をとるか」を見るようにしています。こちらのほうが、ずっと実用的だと感じています。
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この記事で参照した情報について
GI値の数値は、海外の研究や一般に紹介されている数値をもとにした目安です。GI値は測定方法、測定対象者、商品によって大きく変わるため、ひとつの数値を絶対的なものと考えないでください。
GI値・GL値の区分の目安も、資料によって多少異なります。
栄養成分の数値は、文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」および各メーカーの公表値をもとにした概算です。
食前にチョコレートを食べることと血糖値の関係については、研究で検討されている段階の話であり、効果が確立しているとは言えません。
なお、この記事は栄養情報の解説であり、診断や治療を目的としたものではありません。糖尿病の方、血糖値について指導を受けている方は、必ず主治医の指示に従ってください。
よくある質問
Q. チョコレートのGI値はいくつですか?
おおむね40前後から50前後と紹介されることが多く、低めの部類に入ります。ただし測り方や商品によって変わります。
Q. なぜチョコレートはGI値が低いのですか?
主に脂質が多いためです。脂質は糖の吸収をゆっくりにします。「体に良いから低い」わけではない点に注意してください。
Q. 低GIなら血糖値を気にしなくていいですか?
そうとは言えません。GI値は食べる量を考慮していません。たくさん食べれば、血糖値への影響は大きくなります。
Q. GL値とは何ですか?
GI値に、1回にとる糖質の量を掛け合わせた数字です。実際に食べる量を考慮できるため、より実用的な目安とされています。
Q. 高カカオとミルクチョコ、どちらが血糖値に良いですか?
高カカオのほうが糖質が少なく、小分けで量も少なくなりやすいため、血糖値を意識するなら有利です。
Q. 食前にチョコを食べると血糖値の上昇がゆるやかになりますか?
研究として検討されていることはありますが、確実とは言えません。試す場合は1〜2枚程度にしてください。
Q. 糖尿病でもチョコを食べていいですか?
主治医や管理栄養士の指示を優先してください。一般的な情報だけで判断しないでください。
Q. 血糖値を意識した食べ方は?
1回の量を決める、食事から時間を空ける、甘い飲み物と合わせない、ゆっくり溶かして食べる、といった工夫が役に立ちます。
まとめ
チョコレートのGI値について整理します。
チョコレートのGI値は、低めの部類とされています。 おおむね40〜50前後です。
ただし、その理由の多くは脂質が多いことです。「体に良いから低い」わけではありません。
そして、GI値は食べる量を考えていません。
私は「低GIだから大丈夫」と思い込み、ミルク板チョコを1枚食べていました。計算してみると糖質は約26g。とても安心できる量ではありませんでした。
実用的なのは、GI値より「1回にとる糖質の量」を見ることです。量を考慮したGL値という考え方もあります。
高カカオチョコレートを1日3〜5枚、食事から時間を空けて食べる。 この形なら、糖質は4〜6g程度に収まります。
甘い飲み物と合わせない、ゆっくり溶かして食べる、といった工夫も役立ちます。
そして、血糖値について医師から指導を受けている方は、主治医の指示を最優先してください。GI値という言葉だけで、自己判断しないことが大切です。

