この記事の要約
カカオ70%と85%。数字としては15ポイントの差ですが、栄養面ではどう違うのでしょうか。
結論から言えば、糖質は明確に減り、脂質は増えます。 そしてカロリーは、ほとんど変わりません。
ポリフェノールとカフェインは増えます。ただし、カフェインの増加は日常的な量では大きな問題になりません。
つまり、85%を選ぶ意味があるのは、糖質を抑えたい方です。カロリーを減らしたい方には、あまり意味がありません。
そしてもうひとつ、数字に表れない重要な違いがあります。続けやすさです。
この記事では、数値を並べたうえで、その差が実際にどれほどの意味を持つのかを整理します。
結論:糖質は減る。カロリーは変わらない
先に結論をお伝えします。
カカオ70%から85%に上げると、次のように変わります。
糖質は約4割減ります。 これがいちばん大きな変化です。
脂質は2割ほど増えます。 カカオバターの割合が上がるためです。
エネルギー量はほとんど変わりません。 糖質が減っても、脂質が増えるからです。
ポリフェノールは増えます。 カカオマスの割合が上がるためです。
カフェインとテオブロミンも増えます。 ただし、絶対量としてはわずかです。
したがって、選ぶ基準は明確になります。
糖質を管理しているなら85%。 数字の差が実際に効いてきます。
カロリーを気にしているなら、どちらでも同じ。 量で管理するしかありません。
続けられるかどうかで選ぶなら70%。 苦味の差は、数字以上に大きいからです。
Know:数字で比較する
まず、100gあたりの数値を並べます。
| 項目 | カカオ70% | カカオ85% | 差 |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 約550kcal | 約580kcal | やや増 |
| 脂質 | 約40g | 約48g | 約2割増 |
| 炭水化物 | 約35g | 約22g | 約4割減 |
| うち糖質 | 約25g | 約13g | 約5割減 |
| うち食物繊維 | 約10g | 約9g | ほぼ同じ |
| たんぱく質 | 約10g | 約12g | やや増 |
※日本食品標準成分表および各メーカーの公表値をもとにした概算です。商品によって差があります。
1枚あたりに換算する
100gという単位は実感しにくいので、板1枚(5g)に直します。
| 項目 | カカオ70% 1枚 | カカオ85% 1枚 |
|---|---|---|
| エネルギー | 約28kcal | 約29kcal |
| 脂質 | 約2.0g | 約2.4g |
| 糖質 | 約1.3g | 約0.7g |
| ポリフェノール | 約127mg | 約150mg前後 |
1枚あたりの差は、ごくわずかです。
糖質の差は0.6g。5枚食べても3gの差にしかなりません。
この数字を見て、どう感じるかが判断の分かれ目になります。
糖質制限をしている方にとっては意味がある
1日5枚食べる場合、糖質の差は約3gです。
厳密に糖質を管理している方にとって、3gは無視できない量かもしれません。1日の目標値が低いほど、この差は効いてきます。
その意味では、85%を選ぶ合理性があります。
カロリーを気にする方にとっては意味がない
一方、エネルギー量はほぼ同じです。5枚食べても数kcalの差です。
「カカオ分を上げればカロリーが減る」という期待は、成り立ちません。
理由は繰り返しになりますが、脂質が増えるからです。脂質は1gあたり約9kcal、糖質は約4kcal。糖質が減っても、脂質が増えれば相殺されます。
Know:ポリフェノールはどれだけ増えるか
高カカオを選ぶ理由として、ポリフェノールを挙げる方は多いと思います。
カカオ分に比例して増える傾向がある
カカオマスの割合が上がるので、ポリフェノールも増えます。
明治のチョコレート効果シリーズでは、カカオ72%で1枚あたり約127mgと公表されています。カカオ分が上がれば、この数字も上がります。
ただし比例するとは限らない
ここは注意が必要です。
カカオ分とは、カカオマスとカカオバターを合わせた割合です。カカオバターにはポリフェノールがほとんど含まれません。
つまり、カカオバターの割合が高い商品では、カカオ分が高くてもポリフェノールが比例して増えるとは限りません。
正確に知りたいなら、含有量を明記している商品を選んでください。
増える量をどう評価するか
仮に1枚あたり127mgが150mgになったとして、5枚で115mgの差です。
これを大きいと見るか小さいと見るかは、目的次第だと思います。
私は、この差のために苦味に耐えるのは割に合わないと考えています。1枚多く食べれば埋まる差だからです。
Know:カフェインとテオブロミンの差
こちらも増えます。
高カカオチョコレートのカフェインは、板1枚あたりおおよそ3〜5mg程度です。カカオ分が上がれば、これも増えます。
ただし、5枚食べても20mg前後です。コーヒー1杯(約90mg)の4分の1にも届きません。
日常的な量では、大きな問題になりません。
ただし、夕方以降に多く食べる場合や、カフェインに敏感な方は、カカオ分の低いほうが無難です。
テオブロミンも同様に増えます。こちらは公的な摂取基準が示されていないため、量を控えめにしておくのが安全だと考えています。
Compare:数字に表れない違い
栄養だけでは判断できない部分があります。ここがむしろ重要かもしれません。
| 観点 | カカオ70% | カカオ85% |
|---|---|---|
| 苦味 | しっかりあるが穏やか | 強い |
| 酸味 | 控えめ | 出やすい |
| 甘さ | わずかに感じる | ほとんどない |
| 食べやすさ | 高い | 低い |
| 続けやすさ | 高い | 人を選ぶ |
| 商品の選択肢 | 多い | やや少ない |
| 価格 | 手ごろ | やや高い |
15%の差は、味では大きい
数字としては15ポイントですが、味の印象はかなり変わります。
70%には、まだわずかな甘さが残っています。この甘さが、苦味を受け止めてくれます。
85%になると、この緩衝材がほぼなくなります。苦味と酸味が直接来ます。
「同じ高カカオ」とひとくくりにできる差ではありません。
続けられなければ意味がない
これがいちばん大事な観点だと思っています。
85%を1週間で挫折するより、70%を1年続けるほうが、総合的な効果ははるかに大きくなります。
ポリフェノールの摂取量で考えても、答えは明らかです。1枚127mgを毎日3枚、1年間続ければ約13万mg。150mgを1週間で5枚だけなら750mgです。
比べるまでもありません。
Decide:どちらを選ぶべきか
糖質を厳密に管理している方は、85%を選ぶ意味があります。1日あたり数gの差でも、目標値が低ければ効いてきます。
カロリーを抑えたい方は、どちらでも同じです。量で管理してください。
高カカオを試し始めた方は、70%からにしてください。いきなり85%は挫折の原因になります。
苦味を楽しめる方は、85%に進む価値があります。カカオの酸味や複雑さは、こちらのほうが出ます。
カフェインに敏感な方は、70%のほうが無難です。差はわずかですが、少ないに越したことはありません。
続けることを最優先する方は、70%です。これが私のおすすめでもあります。
段階的に上げるのがおすすめ
70%台で2〜3か月続ける。物足りなくなったら80%台へ。ここで問題なければ、90%以上も試してみる。
この順序であれば、無理なく慣れていけます。
いきなり上を目指すと、たいてい失敗します。
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この記事で参照した情報について
栄養成分の数値は、文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」および各メーカーが公表している栄養成分表示をもとにした概算です。同じカカオ分でも商品によって差があるため、正確な数値は各商品の表示をご確認ください。
カカオポリフェノールの含有量は、メーカーが公表している値を参考にしています。すべての商品で公表されているわけではありません。
カフェインとテオブロミンの量も、商品や製法によって変動します。
なお、この記事は栄養情報の解説であり、健康効果を保証するものではありません。高カカオチョコレートは脂質、カフェイン、テオブロミンを含みます。持病のある方、妊娠中の方、カフェインを制限している方は、医師にご相談ください。
よくある質問
Q. カカオ70%と85%、どちらが健康的ですか?
目的によります。糖質を抑えたいなら85%、続けやすさを重視するなら70%です。カロリーはほとんど変わりません。
Q. カカオ分を上げればカロリーは減りますか?
減りません。糖質は減りますが脂質が増えるため、エネルギー量はほぼ同じです。85%のほうがやや高い場合もあります。
Q. 糖質はどれくらい違いますか?
1枚(5g)あたりで約0.6gの差です。5枚食べても3g程度の違いになります。糖質を厳密に管理している方には意味のある差です。
Q. ポリフェノールはどれくらい増えますか?
商品によりますが、1枚あたり数十mg程度の増加です。1枚多く食べれば埋まる差なので、苦味に耐えてまで上げる必要はないと考えています。
Q. カフェインは大きく増えますか?
増えますが、5枚食べても20mg前後です。コーヒー1杯の4分の1にも届きません。ただし敏感な方は低いほうが無難です。
Q. どちらから始めるべきですか?
70%です。85%はいきなりだと苦味が強く、挫折しやすくなります。段階的に上げることをおすすめします。
Q. 85%が苦手な場合、どうすればいいですか?
無理に続ける必要はありません。70%に戻してください。続けられるカカオ分を選ぶほうが、結果的に効果が大きくなります。
Q. 味以外に違いはありますか?
商品の選択肢と価格です。70%台のほうが商品数が多く、価格も手ごろな傾向があります。
まとめ
カカオ70%と85%の栄養の違いを整理します。
糖質は約5割減ります。 これがいちばん明確な違いです。糖質を管理している方にとっては、意味のある差になります。
脂質は2割ほど増えます。 カカオバターの割合が上がるためです。
カロリーはほとんど変わりません。 糖質が減っても脂質が増えるので、相殺されます。「カカオ分を上げれば低カロリー」という理解は誤りです。
ポリフェノールは増えますが、劇的な差ではありません。 1枚多く食べれば埋まる程度です。
そして、数字に表れない違いがあります。苦味です。
15ポイントの差は、味の印象としてはかなり大きくなります。70%にはまだ甘さが残っていて、それが苦味を受け止めます。85%にはその緩衝材がありません。
だから私は、こう考えています。続けられるかどうかで選んでください。
85%を1週間で挫折するより、70%を1年続けるほうが、得られるものははるかに大きくなります。
数字を追う必要はありません。毎日続けられる一枚を見つけることが、いちばんの近道だと思っています。

