妊娠中に高カカオチョコレートは食べていい?カフェイン量から考える適量

妊娠中の高カカオチョコ
目次

この記事の要約

妊娠中に高カカオチョコレートを食べること自体は、禁止されていません。少量であれば、過度に心配する必要はないと考えられています。

ただし、意識していただきたい点があります。カフェインです。

妊娠中のカフェイン摂取量には、目安が示されています。そして高カカオチョコレートは、カカオ分が高いほどカフェインを多く含みます。

とはいえ、チョコレートのカフェイン量はコーヒーに比べればわずかです。問題になるのは、コーヒーや緑茶と合算したときの総量です。

この記事では、具体的な数字を出しながら、1日どれくらいまでなら無理がないのかを整理します。あわせて、妊娠中に増える鉄の必要量との関係にも触れます。

最初にお伝えしておきます。妊娠中の食事に不安があるときは、必ずかかりつけの医師や助産師にご相談ください。この記事は判断の材料であって、指示ではありません。

結論:1日3〜5枚程度なら、カフェイン量として大きな問題にはなりにくい

先に結論をお伝えします。

高カカオチョコレートを1日3〜5枚(15〜25g)食べる程度であれば、カフェイン量としては小さく収まります。

理由を数字で説明します。

妊娠中のカフェイン摂取について、世界保健機関は1日300mg未満を目安として示しています。欧州の機関はより慎重に、1日200mgまでという値を示しています。

一方、高カカオチョコレートに含まれるカフェインは、板1枚(5g)あたりおおよそ3〜5mg程度です。5枚食べても20mg前後にしかなりません。

コーヒー1杯(150ml)には、おおよそ90mgのカフェインが含まれます。比べれば、チョコレート5枚はコーヒー4分の1杯にも届きません。

つまり、チョコレート単体で目安を超えることは、まず起こりません。

ただし、これは「気にしなくてよい」という意味ではありません。コーヒー、紅茶、緑茶、ココア。これらを合算したときに、はじめて意味のある数字になります。

チョコレートを不安に思うより、1日の飲み物を見直すほうが影響は大きい。これが私の考えです。

Know:妊娠中に気をつけたい成分を整理する

カフェインはどれくらい含まれるか

まず、身近な食品のカフェイン量を並べます。

食品・飲料1回分の量カフェイン量の目安
コーヒー150ml約90mg
玉露150ml約180mg
紅茶150ml約45mg
煎茶150ml約30mg
ココア(純ココア5g)1杯約10mg
高カカオチョコ(72%)5g(1枚)約4mg
ミルクチョコ50g(板1枚)約10mg

※数値は食品成分データおよびメーカー公表値をもとにした概算です。抽出条件や商品によって変動します。

この表を見ると、位置づけがはっきりします。

高カカオチョコレート1枚は、コーヒー1杯の20分の1程度です。心配するとしたら、優先順位は明らかにコーヒーのほうが高いのです。

意外に見落とされがちなのが玉露です。カフェイン量ではコーヒーを上回ります。お茶だから安心、とは限りません。

テオブロミンはどう考えるか

カカオには、テオブロミンという成分も含まれます。カフェインと似た構造を持つ物質です。

高カカオチョコレートのテオブロミン量は、カフェインよりかなり多くなります。板1枚あたり、おおよそ25mg前後です。

このテオブロミンについては、妊娠中の摂取量に関する明確な公的基準が示されていません。

作用はカフェインより穏やかとされていますが、データが十分でないのも事実です。

これは怖がらせたいのではありません。分かっていないことは分かっていないと書くべきだ、と考えているだけです。

妊娠中は鉄の必要量が大きく増える

もうひとつ、押さえておきたい点があります。

妊娠中は、鉄の必要量が非妊娠時より大幅に増えます。妊娠中期から後期にかけては、1日あたりの推奨量が大きく上乗せされます。

ここで関係してくるのが、カカオポリフェノールです。

カカオポリフェノールには、植物性食品に含まれる鉄(非ヘム鉄)の吸収を妨げる可能性が指摘されています。

つまり、鉄を意識して食事を摂った直後に高カカオチョコレートを食べると、その努力を一部打ち消してしまうかもしれません。

対策は簡単です。食事から1〜2時間ほど空けて、間食として食べる。これだけで回避できます。

鉄剤を処方されている方は、服用のタイミングについて医師や薬剤師に確認しておくと安心です。

授乳中はどう考えるか

授乳中も、基本の考え方は同じです。

母親が摂取したカフェインは、一部が母乳に移行することが知られています。乳児はカフェインを分解する能力が未熟なため、体内に長くとどまります。

そのため、授乳中もカフェインの総量には配慮が必要とされています。

ただし、ここでも高カカオチョコレートの寄与は小さいままです。1日3〜5枚であれば、量として問題になりにくい範囲です。

赤ちゃんが寝つきにくい、落ち着かないといった様子が続く場合は、まず飲み物のカフェインを見直してみてください。そのうえで気になるようなら、助産師や小児科医にご相談ください。

Do:妊娠中の取り入れ方

1日の量は3〜5枚まで

目安は3〜5枚(15〜25g)です。

エネルギー量にすると80〜140kcal程度になります。妊娠中の間食としては妥当な範囲です。

増やす必要はありません。増えるのは脂質とカロリー、そしてカフェインとテオブロミンです。

飲み物のカフェインと合算して考える

これがいちばん大事です。

チョコレートの枚数を数えるより、1日に飲むコーヒーや紅茶の杯数を把握してください。影響の大きさが桁違いだからです。

たとえばコーヒーを1日2杯飲んでいれば、それだけで約180mgです。ここに高カカオチョコレート5枚(約20mg)が加わっても、合計200mg程度です。

コーヒーを3杯に増やせば、それだけで270mgになります。チョコレートの有無より、こちらのほうがはるかに効きます。

食事の直後は避ける

鉄の吸収を妨げないよう、食事から1〜2時間空けてください。

間食として、食事と食事の間に食べる。この形がもっとも無理がありません。

夕方以降は控えめに

妊娠中は、もともと睡眠が乱れやすい時期です。

カフェインとテオブロミンが睡眠に影響する可能性を考えると、夕方以降は控えるほうが無難です。

体調の変化に応じて調整する

つわりのある時期は、においで受けつけないこともあります。無理に食べる必要はまったくありません。

逆に、後期に胸やけがある方は、脂質の多い食品が負担になる場合があります。少量にとどめるか、時間を空けてください。

体調は日によって変わります。「決めた量を必ず食べる」ではなく、「上限を決めておいて、その範囲で調整する」という考え方をおすすめします。

Compare:ほかの間食と比べてどうか

妊娠中の間食として、選択肢を並べてみます。

間食カフェイン糖質妊娠中に注目される栄養素総合評価
高カカオチョコ25g約20mg少なめマグネシウム、鉄少量なら可
ミルクチョコ50g約10mg多い少ない糖質が多め
ナッツ25gなしごく少量葉酸、鉄、マグネシウム有力
ヨーグルト100gなし中程度カルシウム、たんぱく質有力
干しいも50gなし多い食物繊維、カリウム便秘対策に有効
菓子パン1個なし非常に多い少ないおすすめしない

正直に書きます。妊娠中の間食として最適なのは、ナッツやヨーグルトです。カフェインを含まず、必要な栄養素を補えるからです。

高カカオチョコレートが1位になることは、この比較ではありません。

では、なぜ選択肢に入るのか。理由は、甘いものが食べたいという欲求に応えられるからです。

妊娠中に甘いものを完全に断つのは、現実的ではありません。だとすれば、菓子パンやケーキではなく高カカオチョコレートを選ぶ。この比較でこそ価値が出ます。

比べる相手を間違えないでください。ナッツと比べれば負けますが、菓子パンと比べれば勝ちます。

Decide:食べてよい人・控えたほうがよい人

通常の経過で、カフェイン入りの飲み物を控えめにしている方であれば、1日3〜5枚は無理のない範囲です。甘いものの置き換えとして活用できます。

コーヒーや紅茶を毎日何杯も飲んでいる方は、まず飲み物のほうを見直してください。チョコレートの枚数を減らすより効果的です。

貧血を指摘されている方、鉄剤を処方されている方は、食べるタイミングに注意してください。食事や服薬の直後は避け、時間を空けてください。心配であれば医師に確認を。

妊娠糖尿病と診断された方は、自己判断で間食を決めないでください。医師や管理栄養士から個別の指示が出ているはずです。その指示が優先されます。

つわりや胸やけがつらい方は、無理に食べる必要はありません。体調が落ち着いてからで十分です。

医師から食事制限を受けている方は、この記事の内容より、担当医の指示に従ってください。

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この記事で参照した情報について

カフェイン量の数値は、食品成分データおよび各メーカーの公表値をもとにした概算です。抽出条件、商品、カカオ分によって変動します。

妊娠中のカフェイン摂取の目安として示した数値は、世界保健機関および欧州食品安全機関が公表している値を参照しています。国や機関によって示す数値には幅があり、統一された唯一の基準があるわけではありません。

鉄の推奨量については、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参照しました。妊娠期は付加量が設定されており、時期によって必要量が変わります。

テオブロミンについては、妊娠中の摂取量に関する公的な基準が示されていないため、この記事では「基準がない」という事実をそのまま記載しています。

なお、この記事は栄養情報の整理であり、診断や治療、個別の食事指導を目的としたものではありません。妊娠経過や体調には大きな個人差があります。判断に迷う場合は、必ずかかりつけの産婦人科医、助産師、管理栄養士にご相談ください。

よくある質問

Q. 妊娠中にチョコレートを食べてはいけないと聞きましたが本当ですか?

食べてはいけないという指導は、一般的ではありません。問題になるのはカフェインの総量と、糖質のとりすぎです。少量であれば過度に心配する必要はないと考えられています。

Q. 高カカオチョコレートは普通のチョコより注意が必要ですか?

カフェインとテオブロミンの量は多くなります。ただし1枚あたりの量は少なく、5枚食べてもコーヒー4分の1杯に届きません。一方で糖質は少ないため、その点では有利です。どちらが優れているというより、見るべき項目が違うとお考えください。

Q. 1日何枚までなら大丈夫ですか?

3〜5枚を目安としてお伝えしています。ただし、これは飲み物のカフェインが控えめであることが前提です。コーヒーを何杯も飲んでいる場合は、そちらを優先して見直してください。

Q. 授乳中も同じ考え方でいいですか?

基本は同じです。カフェインは母乳に移行するため、総量への配慮は続きます。赤ちゃんの様子が気になる場合は、助産師や小児科医にご相談ください。

Q. 貧血と言われています。鉄分目的で食べてもいいですか?

鉄分目的では期待できません。含有量に対して吸収されにくく、量も足りないためです。妊娠中の鉄不足は食事と、必要に応じた鉄剤で対応するのが基本です。医師の指示に従ってください。

Q. 妊娠糖尿病でも食べられますか?

自己判断は避けてください。妊娠糖尿病では個別に食事の指示が出されます。担当の医師や管理栄養士に確認してください。

Q. カカオ95%なら糖質が少ないので安心ですか?

糖質は少なくなりますが、カフェインとテオブロミンは増えます。どちらを重視するかで評価が変わります。妊娠中であれば、72%程度で量を抑えるほうがバランスがとれると私は考えています。

Q. 便秘がひどいのですが、チョコレートは影響しますか?

高カカオチョコレートには食物繊維が含まれますが、便秘対策として頼れるほどの量ではありません。水分、食物繊維の多い食品、適度な運動が基本です。つらい場合は医師にご相談ください。

まとめ

妊娠中・授乳中の高カカオチョコレートについて整理します。

食べること自体は禁止されていません。1日3〜5枚程度であれば、カフェイン量としては小さく収まります。

大事なのは、チョコレート単体ではなく総量で考えることです。コーヒーや紅茶を含めた1日のカフェイン量を把握するほうが、はるかに意味があります。

そして、食事の直後は避けてください。妊娠中は鉄の必要量が増える時期です。カカオポリフェノールが鉄の吸収を妨げる可能性を考えると、時間を空けるほうが合理的です。

夕方以降を控えることもおすすめします。睡眠が乱れやすい時期だからです。

間食として最適なのは、正直に言えばナッツやヨーグルトです。ただ、甘いものが食べたいときに菓子パンではなく高カカオチョコレートを選ぶ。その比較でこそ、この食品は活きてきます。

最後にもう一度お伝えします。妊娠中の体調には大きな個人差があります。この記事は判断の材料にすぎません。

不安を感じたら、遠慮なくかかりつけの医師や助産師にご相談ください。食べ物のことで一人で悩む必要は、まったくありません。

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